
「ザラツ研磨」などの
世界有数の伝承技術を駆使
長年のご使用で傷がついた時計は、最適な研磨を行うため顕微鏡を使っての傷取り作業を行い、ザラツ研磨で美しい平面とシャープな稜線を蘇らせます。(但し、ケースの深い打痕などは当初のデザインを優先させるため完全には取り除けない場合があります。)
メタルバンド研磨では、マスキング(部分保護)を施しながら鏡面と筋目部を慎重に研磨し、高級時計本来の重厚な質感を復元します。
修理工程の流れ
1. 研磨前の状態
長年のご使用により、ケースやメタルバンドに数多くの小傷がついています。
傷ついたケースやメタルバンドを再研磨によってグランドセイコーのシャープで重厚な質感を取り戻します。
2. ケース斜面の傷取り
リューターでケース斜面の傷を除去します。肉眼では見えない小傷まで除去するため、顕微鏡を使って作業を行います。研磨後は綺麗に小傷までとれて光沢が出ています。
3. ザラツ研磨(ケース側面)
ケース側面を回転するザラツ盤に当て研磨します。この作業で平面の研磨と稜線のエッジを立てます。小傷が取れ綺麗な平面になります。
4. ガラス縁ザラツ研磨
ガラス縁をチャックにセットしザラツ盤で研磨します。平面を出すために微妙な角度調整と研磨板に当てる強さの調整が必要になります。この作業は、熟練した技能が必要です。
5. ケースバフ研磨
ザラツ研磨後は、バフで表面を研磨し光沢を出します。面がダレないように磨き粉の量とバフに当てる強さの微妙なバランスが重要です。
6. ケース表面の筋目付け
筋目仕上げは、手作業で目の細かい紙ヤスリを使用し筋目をつけます。手元が狂うと鏡面に傷をつけてしまうため大変神経を使う作業です。
7. 研磨後のケース
研磨前の状態と比べると、見違えるほど光沢が出て、購入時とほぼ同様のグランドセイコーのシャープなデザインが蘇りました。
8. メタルバンド鏡面部マスキング
筋目部分の傷取りと筋目を入れるため光沢部分に保護テープを貼ります。このメタルバンドは鏡面部の幅が細く、テープがずれないように慎重にマスキングを行います。
9. フラップホイールによるスジ目付け
モーターに取り付けたフラップホイール(回転式ヤスリ)で表面を傷取りしながら筋目をつけていきます。まっすぐに筋目をつけるのも、職人の技が必要です。
10. メタルバンド筋目部マスキング
鏡面部を研磨するために筋目部分を保護テープでマスキングを行います。
11. 鏡面部バフ研磨
マスキングされたメタルバンドは、バフ盤で鏡面部分を研磨し傷取りを行いながら光沢を出します。
12. 研磨後のメタルバンドとケース
研磨後は、メタルバンドとケース全体の傷が取れ、グランドセイコーのシャープな稜線と光沢、重厚な質感が蘇りました。