修理技能職のリアルを語る
入社後の学び、仕事への向き合い方、そしてこれから―
-
修理技能士各種ブランド修理を経験
入社8年目 -
修理技能士セイコーブランド担当
入社5年目 -
修理技能士高級品ブランド担当
入社4年目 -
修理技能士大阪配属・技能五輪の挑戦
入社3年目
まずは、入社後どのように技術を身につけていったのか聞かせてください。
私の場合は、技能育成の担当部署による新人研修期間があって、その後は配属先ごとに指導が入るという流れでした。OJTでは年数を重ねた先輩が担当してくれて、修理品を一から最後まで一緒に見ながら教わることもあれば、「まずやってみて」と任せてもらって、一通り終わったところで見てもらうこともあります。人によって教え方はさまざまですね。
お客様の品を扱うのは緊張しそうですが。
不安な場合は練習用の時計や文字盤を使って練習できるので、そこは安心です。私は新人研修用の時計で、針付けやガラス入れから覚えていきました。あと、私はこれまで4回ほど異動していて、いろいろなチームを一周した感覚があります。異動のたびに新しい指導が入るので、幅広く覚えられるのは大きいですね。
私は技能育成の担当部署で約3ヶ月の研修を受けたあと、大阪に配属になりました。最初は練習用の時計を使いながら、バンド限定・外装限定の修理からスタートです。そこで時計の概要的な知識を深めてから、オーバーホールやムーブメント交換へ。今ではグランドセイコーの機械式やスプリングドライブのオーバーホールも任せてもらえるようになりました。
まずは技能五輪を前提とした業務に入って、ムーブメント交換やオーバーホールを中心に。技能五輪が終わってからは高級品チームに入り、マイスターに1ヶ月ほど横についてもらいながらのスタートでした。実際の修理経験としてはまだ1年ほどで、研修期間がかなり長かったですね。
僕も近くて、技能五輪を終えてからセイコーブランドのチームへ。振り返ると、実務よりも研修や技能五輪への対策の時間がかなり長かったです。
当社の修理技能士に向いているのは、どんな人だと思いますか。
2つあります。ひとつは「小さな違和感に気づける人」。作業中はもちろん、検査に出す前の二重・三重チェックで「なんかおかしいな」と感じられるかどうか。分解してみると、たいてい何かしら原因があるんです。これは経験値でも磨かれるし、直感的な部分もあって、両方が必要だと思います。もうひとつは「コミュニケーションが上手な人」。修理は質問しないと出てこない情報が多いので、周りに聞いて、納得できなければまた別の人にも聞いてみる。その姿勢が大事です。
私は「最後までやり抜く力」と「素直さ」だと思います。一つの時計を基本的に一人で仕上げるので、途中で困難があっても、先輩や上司に助言をもらいながら最後まで直しきる。失敗を隠さず相談できる素直さが、成長につながると感じます。
僕は3つありますね。まず、数時間机に向かえる集中力。次に、速さとクオリティのバランスを突き詰められること。そして、機械式やスプリングドライブ、ソーラーなど、多種多様なムーブメントに携わりたいという好奇心。この3つがある人は、きっとこの会社を楽しめると思います。
僕が思うのは、「時計が好き」というより「作業自体が好きな人」が向いているということ。同じような作業の繰り返しになることも多いので、それ自体を楽しめる人がいいですね。入社して意外だったのは、実は時計そのものが特別好きというより、細かい作業が好きという人が多いこと。あとはコミュニケーション。お客様との直接のやり取りはほぼないですが、同期や同僚に分からないことをすぐ聞ける関係性は大切です。
作業中、その場ですぐ聞けるものですか?
はい、基本的にすぐ応対してもらえます。しかも修理には「正解があるようでない」部分があって、作業方法が一つじゃないんです。考え方が違えば全然違うやり方になって、でもどちらも正解、ということもある。根拠まで聞いてみると面白いですよ。
仕事のやりがいはどんなところに感じますか。
学校で学んだオーバーホールと違うのは、実際にお客様が使ってきた時計だということ。使用環境も頻度も違うので、状態や不具合もそれぞれ。原因を探しながら作業するのが面白いんです。そして当社は、一つの時計を受け入れから検査出しまで一人の作業者が担当するのが特徴。責任は大きいですが、それがやりがいに直結します。
一人で完結するのは、他社と違うんですね。
他社では分業制も多いんです。分解する人、組み立てる人、と工程ごとに担当が分かれている。そうすると、一点を極められるのかもしれませんが、私は一本を一貫して手掛けられるこの会社の面白さを選びました。
私は街中で自社ブランドの広告を見るたびに「私はこの時計を知っているんだ」と誇らしく感じます。お客様にとって思い入れのある一本を修理できる、ブランド価値の高いものに携われる。お客様の想いに支えられる仕事だと思うと、大きなやりがいがあります。
僕はユーザーイベントに携わったことがあるのですが、すでに何本も持っているお客様が、さらに買いに来られる。「こんなに期待されているんだ」と実感して、より責任感が強まりました。買った後、唯一お客様と関わるのが修理の場面だからこそ、万全にしてお返ししたいという想いが強くなりましたね。
僕はやっぱり「組み立て自体の面白さ」です。もともとプラモデルやレゴのような組み立てが好きで。ゼロから生み出すのではなく、価値の詰まったものを今あるかたちに組み上げていく。その一つひとつにお客様がいる。最近は修理の魅力を外に発信する活動も増えていて、お客様の生の声を聞けるのも、やりがいの一つになっています。
加えて、成果の見え方についてはどうですか。
修理の成果は数字ではっきり出ます。ごまかしのきかない仕事ですが、裏を返せば曖昧さがなく、自分の成果が明確に分かる。だからこそ、やりがいを感じやすいんだと思います。
最後に、将来チャレンジしたいことを聞かせてください。
入社以来、クオーツからスプリングドライブまで、さまざまな時計に触れてきました。それでも高級品機械式時計の修理はまだ一年ほど。これからだと感じることばかりです。まずはお客様の期待に応えられる確実な修理を、そしていずれは後輩に教えられるだけの経験を積んでいきたい。今は自分が教わる立場ですが、多くの先輩に教わってきたからこそ、その「教え方」を自分のものにして、後輩の育成にも活かしていけたらと思っています。
技能五輪や社内競技大会、国家検定など、いろいろな資格に挑戦してきました。将来的にはマイスターにもチャレンジしていきたいです。そして周りとの関係も大切にして、なんでも相談してもらえる頼れる技術者になれたらと思っています。
知識と技術を身につけて、社内のマイスターに挑戦したいです。IWマイスターの試験は理論的にもかなり深いと聞いていて、正直想像をはるかに超える難易度らしいのですが(笑)、だからこそ挑戦してみたいですね。社内の中でロールモデルがあること自体、目標設定に使いやすくてありがたいです。
修理者としてのレベルを高めていく指標として、各種検定やマイスターは分かりやすい環境だと思います。今はグランドセイコーの機械式が中心なので、スプリングドライブなど、いろいろなムーブメントも触ってみたい。一通り経験していくのは、純粋に面白そうだなと思っています。